今世の中で話題になっている事象にスポットを当てみなさんにわかりやすくお伝えする「おとわさんのトレンド解説。はなしのタネ。」第3回目のテーマは、難しく聞こえてしまうクラウドファンディングのお話。えっ!家造りにクラウドファンディングは関係ないだろうって?大アリなんですよ。昨今では、クラウドファンディングサイトを活用して、日本各地の中小企業が新規プロジェクトや新規事業に賛同する支援者を募り、事業化できているものが沢山あります。今回は、その中で話題となっている日本酒専門店のベンチャー酒場「KURAND」池袋店に実態調査へ行ってきました。

■クラウドファンディングの魅力って何?

クラウドファンディングとは、インターネットなどを通じて、不特定多数の人々(=クラウド)から資金を集める(=ファンディング)ことです。従来のように、企業が銀行からお金を借りなくても「個人が簡単に」、「様々な人々から」、「短期間で」資金を集める方法として注目を集めています。しかし、それだけではないのが現在のクラウドファンディングなんです。クラウドファンディングサイトでは、それ自体がテストマーケティングの場となります。一般消費者も出資できるため、事業を始める前にアイデアやプロジェクトの価値を一般消費者から評価してもらえ、市場に受け入れられるかどうかを確認することができます。更に、広告費を掛けずに事業を宣伝することができます。クラウドファンディングを活用することでファンを創出し、SNSを通じて事業が拡散され、さらに多くのファンや出資者を獲得することができるというメリットもあるんです。


【「KURAND」では目標金額の5倍以上の金額を集めることに成功。】
「KURAND」が活用したクラウドファンディングサイト「Makuake」は、サイバーエージェントグループが運営していることもあり、会員が3,000万人を超えるAmebaとの連携など、メディア掲載数5,000件以上のPR力や圧倒的な資金調達力があります。また、スマートフォンユーザーの使いやすさや、クレジットやコンビニ決済など決済手段の多様性、出資金額に応じた特典などで、参加する一般消費者や掲載企業を増やしているようです。事業スタート前にリスクを最小限に抑えながらのテストマーケティングや数多くのメディアを通しての事業PRを行えるのが「Makuake」の良さだと思います。

■地方蔵元たちがこだわり抜いた日本酒専門店を2年間で6店舗オープン!!

日本酒専門店の「KURAND」は、3,000円で100種類の日本酒が飲み比べし放題(時間制限なし)、料理提供はなく食べ物の持ち込みが自由というお店です。店内には全国各地の希少銘柄が並び、すべての酒瓶にも生産者の顔写真入りタグが添えてあります。有名銘柄にとらわれず、小さな蔵元の渾身の一本をより多く取り揃え、地方の蔵元と都会の消費者とを繋ぎながら、日本酒の楽しみ方を提供する新たな日本酒専門店です。


【蔵元の顔写真が壁に貼ってありました。】
ほぼ全店舗がクラウドファンディングサイトの「Makuake」で資金調達を実施しており、「KURAND」池袋店では、2015年1月に初めて掲載し、617人の支援者から316万円が集まり、2カ月後にオープンすることができました。以降、現在までに姉妹店も含めると計10回も活用し、10店舗以上出店しています。出店スピードが速い中で、プロモーションを最大限に広げるためにも広告費を掛けずに開店前から認知してもらえ、集客できるのがクラウドファンディングだからこそできることかもしれません。一番みなさんが気になっている出資者の特典は、なんと「店舗を一日貸し切れる」権利だそうです。支援者に一緒に店を作り上げるワクワク感を共有してもらい、リピーターとして来店したり、宣伝協力をしてもらうなどの想いがありそうです。蔵元の日本酒に対するビジョンやストーリーに共鳴し、彼らを応援したいという熱い人に来店してもらい、一緒に「KURAND」をつくりあげれば今以上にファンが増えそうですよね。


【蔵元の顔写真入りタグ付き日本酒がたくさん】

■「工務店」もクラウドファンディングを活用できる時代!!

みなさんのイメージするクラウドファンディングは、ITリテラシーの高い人が主に活用し、人脈が多い人のみしか資金を集めることができないという認識が強いと思います。しかし、「Makuake」では、面白い商品やアイデアを世に送り出したい人たちと、その誕生を応援したい人たちとのマッチングを目指しており、掲載手続きも難しくありません。面白い新規事業や新サービスであれば、高いITリテラシーや豊富な人脈も必要なく、資金調達を行える環境が整っているということなんです。また、昨今の住宅着工戸数の減少も考えると「選ばれる工務店」にならなければ生き残れない時代になっていく中で、消費者に工務店の良さを伝えていく必要があります。技術力があったとしてもそれを知ってもらえなければお客様から問い合わせはきません。そこで、クラウドファンディングサイトを通して、資金調達の場としてだけでなく、工務店の良さや取り組みを伝えるテストマーケティングの場や広告媒体として考えることも手かもしれません。たとえば、<北海道「十勝」の知られざる魅力を伝える映画を制作し、地域貢献したい>というプロジェクトでも123人の支援者から210万円が瞬く間に集まったとのことです。工務店も<県産材を活用した若者向けのデザイン住宅を建て、地元への若者誘致や地域産業を活性化したい>というプロジェクト掲載でも地元を愛する出資者から多くの支持を得られるかもしれません。

Written by おとわさん
「常に社会情勢にアンテナをはる事務局きっての情報通。」 音羽 翔  ジャパン建材㈱営業推進部推進課 宮城県仙台市出身 AB型 小さい頃の夢/理科の教師 趣味/バスケットボール(学生時...