有限会社小田製材所|取締役 小田 達也 氏、取締役 小田 真之 氏|兵庫県加西市
右・小田 達也氏) 好きな言葉/「忍耐」 好きな漫画/「スラムダンク」
左・小田 真之氏) 好きな言葉/「石の上にも3年」 趣味/「山登りと写真」
創業者社長でもある父・哲氏を盛り上げる兄・達也氏と弟・真之氏。製材所としての木材へのこだわりを基本に、地域に根差した家造りの可能性を常に考え、新たな試みとして「ログハウス仕様の家造り」にも着手し評判となる。自然エネルギーを活かしたパッシブデザインと、お引渡し後のメンテナンス対応にも力を入れる。
■ 新たにログハウスにも注力。<木使い>と<気遣い>を大切にする。
Q)(有)小田製材所の業務内容と特徴について教えてください。
達也氏)弊社の業務内容としては、木材の加工・販売と注文住宅・リフォームの設計・施工を行っています。特徴としては、元々創業は製材所としてスタートしていますので、「木材の良さを活かした家造り」にこだわり、3年前からは若い世代向け住宅としてログハウス(HONKA)の設計・販売にも力を入れています。<木使い>と<気遣い>を大切に、この兵庫県加西市の地域に貢献できる家造りを目指しています。
【モデルハウス(HONKA)/兵庫県加西市鴨谷町】
Q)家造りの仕事をするきっかけは?
達也氏)父の影響もあるのですが、小さい頃は大工になりたいと思っていました。そこから、街創りに興味を持ち、大学卒業後、銀行~設計事務所~建設会社での勤務を経て、5年前弊社に入社しました。
真之氏)僕は、大学卒業後建材商社に勤務し、主に非住宅を扱っていました。弊社に入社したのは、3年前です。やはり、家業として住宅を扱っていたので常に比較をしていたところがありました。
Q)実際、入社されて感じたことは?
達也氏)一番に感じることは、お客様の想いの重たさですね。2人とも、前職で建設関連の仕事をしていたのですがBtoBだったので、どこか仕事として割り切って冷めていることに寂しさを感じていました。住宅のお客様は、個人の方なのでやはりこだわりが強く、満足させる為のハードルが高いです。その高さが想いの重たさとして伝わってきます。もちろん大変なんですけど、やはり凄くやりがいを持たせてもらっています。
真之氏)そうなんですよね。お客様の想いに応えた時に感謝される仕事だというのが嬉しいです。
■ 社長(父)が築いたモノを、どう利用していくかを考える。
Q)お2人が入社されて、社長である父・哲氏と一緒に仕事をしていますが?
達也氏)うまくそれぞれの良さを活かしてやっていると思います。基本は、父の会社なので文句は言わず、方針には従うようにしています。昔からのリピート客を大切にする商売をしてきたので、そこを変えようとは全く思いません。それよりは、社長(父)が築いたモノをどう活かしていくのか、言葉を変えるとどう利用していくのかを考えています。
真之氏)私が入社する時に、周りからはやはり家族と仕事をすることに対して心配する声がありました。仲たがいしたりして、気まずい思いをするのではと。今、弊社では、大きな方針は社長(父)に従いますが、受注した仕事はそれぞれの現場ごとに担当制で分かれて行っているので、それがうまく機能しているのではと思います。兄弟でも、タイプが違いますので、お客様との相性みたいなモノを考えながら進めているのが強みになっていると感じています。
【モデルハウス内事務所/木材の性質を説明する為の資材サンプルの数々。】
■ モデルハウスは、地元OBの次世代層に対するブランディングとして効果大。
Q)現在、力を入れているログハウス(HONKA)のモデルハウスはいつから始めたのですか?
達也氏)こちらのモデルハウスは、3年前に世界No.1のログハウスメーカーHONKAと契約した際に造ったモノです。元々、モデルハウスを持っていなかったので、ログハウス以外の仕事もお客様に見てもらうことができると思いオープンしました。
Q)モデルハウスのオープンによって、集客面での効果はありますか?
達也氏)モデルハウスをオープンしたタイミングで、従来のチラシをまくだけのスタイルを見直そうと考え、地元の住宅雑誌への掲載も積極的に行いました。若い世代に対して、デザイン性の高い家造りが出来るイメージをモデルハウスと連動させようと。結果として、新規獲得というよりは、父の代からお付き合いのあるOB客の子供世代の方々への与信として大きく成果があったように感じています。
真之氏)元々弊社を知っている人に対して、「あっ!こんな家も造れるのか」みたいな驚きを持っていただいたと感じています。契約する可能性の高い地元のお客様の囲い込みという点では大きいですね。
【モデルハウス内(HONKA)/薪ストーブに使用する薪の販売サービスも行っている。】
■ ブランド力を上げ、集客力をつける。その後は、一度立ち止まりたい。
Q)今後、将来の事業展開など考えているプランとかはありますか?
達也氏)まずは、弊社のブランド力をもっと高めることが先決だと思っています。特に、地元のOBの お客様が安定しているうちに、全く新規のお客様をどう取り込んでいくのかを意識しています。
真之氏)その為には、PRツールの整備も大切です。問い合わせ用のパンフレットを制作し、お問合せ~契約~施工~完成までの流れを分かりやすくまとめたいと現在作業しています。
達也氏)こうした取り組みなどで、ブランド力を上げて集客力をつけた後は、一度立ち止まって考える時期を持ちたいと思っています。弊社のように限られた人数の中で、設計・施工を行う工務店にとって年間棟数を増やしていくのが良いことなのか。年間棟数を制限して先々までを計算し、安定的にしっかりとした仕事をしていくのが良いのか。どちらが、最適な形なのかを冷静に考えるべきだと思います。ただ、それを選択できるようにする為には、まずは、ブランド力をあげ、集客力を上げてからなので、今は、その点に全力で取組んでいます。
【施工実績/木材を活かし、ドイツ、ザイフェンの建築様式を在来軸組工法で実現した自然派住宅】
■ 人間として周りの人達から信頼してもらえないと生き残れない!
Q)お客様が、(有)小田製材所を選ぶ一番のポイントは何だと思いますか?
真之氏)一番は、やはり人間力だと思います。この兵庫県加西市というエリアで仕事をしていくには、人間として周りの人達から信頼してもらえないと生き残れないと思います。毎日の生活の中で身近に接している人達が、全てお客様なのですから。
達也氏)家造りはやはり街造りだと思っています。1軒の家を建てたらおしまいではなく、その家が地域(コミュニティ)をカタチ造っていくことを意識しながら仕事をするべきと考えています。地域(コミュニティ)と一緒に考える。お客様へのメンテナンスを含め、造って終わりではないと考えています。
【(有)小田製材所事務所前にて/左から2番目が、社長である哲氏。手前は、看板犬のBub。】
■ 出来た時が完成ではなく、暮らす人の匂いが着いて愛着がわく。
Q)最後に、お2人の考える“いい家”とは
達也氏)お客様が満足する家であることですね。僕らは、建築家ではありません。自己満足では絶対ダメだと思います。僕らが造るいい家は、お客様の欲求を満たすことが絶対条件だと思っています。
真之氏)私は、自分がホッと出来る家ですね。愛着が持てる家というのですかね。家は、出来た時が完成形ではないと思っています。暮らし始め、そこで暮らす人の匂いがついて、どんどん愛着が沸いていくはずです。その意味では、やはり造っておしまいではなく、その後も永いお付き合いを続け、お客様にとっていい家になっているかを自分達も確認していきたいと思っています。
【インタビュー撮影後/モデルハウス(HONKA)正面玄関前にて】
取材後記)
兵庫県加西市にあるモデル・ログハウス(HONKA)にお邪魔し取材させて頂きました。様々な経験を積んだ後で、父の経営する会社に入社したお2人。経営者である父の理念を大切にしながら、それぞれの経験を活かした新しい取り組みをしっかり前へ推し進めていく行動力。タイプの異なる兄弟が、お互いをリスペクトした上で対話をし、新しいチャレンジに取り組む。兵庫県加西市で、「常に進化を続ける力強い兄弟の匠たち」に出逢いました。
(有)小田製材所 〒675-2444 兵庫県加西市鴨谷町894番地1
TEL)0790-44-0014 FAX)0790-44-1082
公式ホームページ → http://www.oda.ne.jp/