株式会社谷崎建設・設計事務所|代表取締役 谷崎 高広 氏|徳島県板野郡

【プロフィール】

徳島県板野郡出身。大学卒業後、徳島市内の設計事務所に8年間勤務の後、父の経営する㈱谷崎建設・設計事務所に入社。施工管理の現場も数多く経験し、2017年に代表取締役に就任。
祖父の代から続く創業63年の暖簾の重みを守りながら、時代に合わせたブランド創りに着手し、現在「アップルハウス」を展開中。女性建築士によるライフスタイル重視のデザイン提案や、お客様のこだわりを活かす仕様の「pureシリーズ」展開などが評判となる。
モット―/「心遣い(人を気持ちよくさせたい)」 
趣味/スポーツジム通い
最近読んだ本/「高田明と読む世阿弥(著・高田明)」 
家族/妻、長女(18歳)、長男(11歳)


■創業63年目を迎える、老舗工務店。ブランド名は「アップルハウス」

Q)㈱谷崎建設・設計事務所の業務内容と特徴について教えてください。

弊社は祖父の代から数え創業63年目を迎え私で3代目となる会社です。新築住宅の設計・施工を中心に住宅リフォームや公共事業なども行っています。現在は、「アップルハウス」というブランド名でPR展開をし、特に30代~40代の若い世代に向けたデザイン性・機能性共にこだわった家造りを積極的に進めています。

【アップルハウス事務所/徳島県板野郡藍住町】

Q)このお仕事をするきっかけは?

はい。小さいころから父に連れられて、建築現場にも行っていましたし、長男でもあったので気が付いたら当たり前のように「職業=家造り」と考えていました。今考えると、とても幸せなことかもしれないですね。大学卒業後は、徳島市内にある設計事務所に就職しそこから約8年間公共事業などを中心に設計の実務を経験させてもらいました。この時の経験は、とても大きいです。視野が広がったというか、建築という世界の可能性を知ることができたというか。今の家造りに対する考え方にもとても影響を受けていると思います。その時に一級建築士の資格も取りました。

■ 大学卒業後、設計事務所で修行を積み、30歳~現場で施工管理のスキルを磨く。

Q)谷崎建設・設計事務所に入られてからはいかがでしたか?

はい。30歳になって当時父が社長だった弊社に入社をしました。入ってからは、主に施工管理の監督としてたくさんの現場を経験してきました。弊社は、祖父・父と2代ずっと大工職人として仕事をしてきたので、現場にいる職人さん達もたたき上げの年配の方が多かったので、現場をまとめあげていくのに、とても気を遣いましたね。(笑)でも、そこで弊社の技術力というか職人力みたいなモノに対する自信をどんどん深めていったのだと思います。仕事がやはり1つ1つ丁寧なんですよね。

【施工中の現場にて/職人とのコミュニケーションの良さは、信頼関係の証し。】

■ 新しいブランド名「アップルハウス」は、距離を近づける為のトライだった。

Q)ブランド「アップルハウス」の取り組みを始めたのはいつからですか?

はい。今から約10年前ですね。まだ専務の頃ですが集客について何をしたら良いかをずっと考えてました。当時は、ほとんどが知り合いからの紹介受注だったのですが、徳島県でも大手住宅メーカーを始め競合他社がどんどん増え始めたのを肌で感じ始めていました。私自身が、営業職としての経験がなかったというのもあって、どうやって新しいお客様と出逢えるのかを模索していたと思います。そこで、お客様が「もっと親しみやすく入りやすくしたい!」と思ったんです。それが、リブランドを始めたきっかけですね。

Q)ブランド名の「アップルハウス」という名前はどうやって決めたのですか?

まずは、名前が「谷崎建築・設計事務所」では固すぎるなと思っていたので、近い距離感で入り安い名前をと考えました。子供から年配の方まで親しみやすく、優しい語感の言葉を探しました。あと、検索されたりする時に、「A」から始まる言葉がいいとも考え、「アップルハウス」という言葉にしました。

【公式WEBサイト/建築家中野氏との対談を載せるなど、ブランドの信頼感を意識した企画も。】

■ リブランドの効果は、実は棚卸しにあった。自分達の強みを再認識するきっかけに。

Q)ブランド名を変えてから、リブランドを本格的にスタートさせたんですね。

はい。もちろん、名前を変えただけでは集客は変わりません。それに合わせて、親しみやすくかつ自分たちの家造りをわかりやすく伝えることを考えなければと思いました。その取り組みは、ゴールがある訳ではなく今も進化の途中だと考えています。現在のWEBサイトも、時代に合わせ2年前にロゴマークと一緒に制作しました。少しでも、お客様にわかりやすく親しみやすくする為にスタッフ全員でアイデアを出し合うところからスタートしました。「自分達の会社の理念や家造りへの想いを伝えることは大切だが、やはり一歩距離を近くに感じてもらうことが大事だ」とか。色んなことを、全員で話し合いました。実は、これがとても大切だったんです。みんなで、自分たちの会社の棚卸しをするというか、何が自分達の強みなのかを再認識することができたのが一番の効果でしたね。

Q)具体的にリブランドをして、気づいたことやお客様に変化はありましたか?

ひと言でいえば、パッケージの伝え方は「建築の仕事」の一部だということに気づかされました。どんなにいい仕事をしても、お客様に知ってもらえなければ出逢いはありません。自分達の仕事への想いから施工実績や価格に至るまで、お客様が具体的なイメージを持てるように伝えるには創意工夫が大切です。少しずつですが、ブランド価値が上がってきているのも実感しています。以前はローコスト住宅の依頼がほとんどだったのが、WEBサイト改修後はこだわり住宅を求めるお客様も増え始め、好循環になりつつあります。

【施工実績/LDK(広いLDKとナチュラルな家)】

■ 2つの強みは、「職人としての高い施工技術力」と「女性建築士のプランニング」

Q)棚卸しすることで再認識した強みとは何ですか?

はい。弊社の強みは、2つあると思います。1つは「創業63年で培った職人としての高い技術力」です。創業者である初代・谷崎卯太郎は、平成4年に徳島県より「あっぱれ棟梁コンクール」優秀者・阿波の名匠第1号に選ばれています。その伝統を受け継ぎ、現在も職人としての高い施工技術には自信を持っています。2つ目は「女性建築士によるプランニング」です。これは、スタッフと会話を重ねる中で実感していったことですが、プランニングの際に積極的にお話しいただくのは、一家の家事を切り盛りする女性なんですよね。子育てや家事などの生活動線を意識するなど女性ならではの目線は今の家造りには、とても大切なポイントだと気付かされたんです。弊社には、主婦で子育てをする女性建築士が2名います。この2人の女性建築士だから出来る家造りというのも、積極的に考えていきたいと思っています。

【インタビューの合間に/一番左)建築士・坂野洋子さん 右から2番目)建築士・藤井恵さん 一番右)スタッフ・池田智哉さん】

Q)最後に、谷崎社長の考える“いい家”とは

はい。デザイン性・性能の両面で、価格(コスト)に見合って快適に過ごせる家ですかね。勿論、価格によって出来ることは変わってきますが、そのお客様ごとに快適で過ごしやすい形を見つけることは必ず出来ると思っています。弊社に来て頂いた全てのお客様に最適なモノをご提供していきたいと考えています。

【インタビュー撮影後/オフィス前にて】

取材後記)
徳島県板野郡にある事務所にお邪魔し取材させて頂きました。創業63年という老舗工務店の伝統を守りながらも、時代に合わせ新しい改革も進めるというまさに「事業承継」をテーマとした意義のあるインタビューとなりました。「元々が建築士なので、営業は苦手なんですよね!」と笑いながらおっしゃる谷崎社長ですが、伝えることの大切さを感じ前向きにPRを模索される行動力は流石です。四国・徳島で伝統と革新を融合し、新しい価値を生み出す<老舗3代目の匠>に出逢いました。


㈱谷崎建設・設計事務所  〒771-1270 徳島県板野郡藍住町勝瑞字成長141-23
TEL)0120-378-678  FAX)088-641-3918
公式ホームページ → http://www.applehouse2008.com/


Written by おとわさん
「常に社会情勢にアンテナをはる事務局きっての情報通。」 音羽 翔  ジャパン建材㈱営業推進部推進課 宮城県仙台市出身 AB型 小さい頃の夢/理科の教師 趣味/バスケットボール(学生時...