株式会社工匠|代表取締役 稲垣 和樹 氏|千葉県松戸市
千葉県市川市出身。16歳で、宮大工の棟梁に弟子入りし職人の世界へ。厳しい修業時代を経験したのち、2つの会社での様々な施工現場で実績を積み、独立を果たす。独立後は、宮大工として社寺建築に携わりながら、その技術を活かした注文住宅建築も手掛け評判となる。現在は、㈱大功が手掛ける新プロジェクト「愉くらしの家」にも参加。「木を使うことなら何でも出来る」という職人としての自信に裏付けされたこだわりから、お客様からの信頼も厚い。
好きな言葉/「一生勉強、一生青春」
趣味/バス釣り
家族/妻、娘(10歳)
■ 16歳で宮大工として職人の世界に弟子入り。厳しい修行時代。
Q)㈱工匠の業務内容と特徴について教えてください。
弊社は注文住宅の販売施工を中心にリフォームも行っています。また、元々私が宮大工として修業をしていましたので社寺建築のお仕事も並行して行っています。特徴としては、お客様の注文に応えるフルオーダーでの家造りを基本としています。「木を使うことなら何でも出来る」という職人としての自信を持って、木造の家ならではの魅力をキチンとカタチにしたいと思っています。
Q)宮大工として修業されたとのことですが、そのきっかけは?
元々は、小学生の頃夏休みの宿題で犬小屋を造ったのがきっかけです。何もないところからモノを造るのって面白いなあと。それから大工職人という仕事を意識し始めて、16歳の時にはすぐに職人の世界に飛び込みたいと思って決意しました。そこで、弟子入り先を探した時に、たまたま近所に宮大工の棟梁がいらっしゃったんです。そこで御願いして弟子入りさせてもらったので、宮大工になろうと強く思っていた訳ではないんですよね(笑)。
【作業道具の数々/宮大工の場合、普通の大工の3~4倍の道具が必要になる。】
Q)実際、弟子入りしてから宮大工の世界はいかがでしたか?
いやぁ~、本当に厳しかったですね。弟子入りしてから、最初の3ケ月は無給でしたし、親方の存在は絶対の世界でまともに口も聞けない状態でした。毎日仕事終わりに、明日はやめようと考えながら帰っていました。結局2年間は、木に触れることなく親方についていただけでした。
Q)辞めずに続けられたのはどうしてでしょうか?
う~ん、何ですかね。うまく言えないですが、親方のそばで仕事を見てるだけで、その緊張感を感じているだけでやりがいを感じていたというか。いつかは俺もという気持ちがどんどん強くなっていったというか。でも、今考えると、この木を触らせてもらえなかった2年間がとても大きかったですね。次のステップで作業をやらせてもらった時に、それまでの気持ちが一気に爆発したというか。作業を出来ることが、楽しくて仕方なかったですね。スポンジに水が染み込むように、技術がどんどん自分のモノになっていくのが嬉しくて。(笑)今でもこの時の想いは、凄く大切にしています。
【施工現場/作業風景】
■ 社寺建築から、注文住宅へ。職人としてのプライドからの“挑戦”。
Q)宮大工として独立されたとお聞きしていますが、注文住宅を手掛けるようになったきっかけは?
はい。宮大工として社寺建築の仕事は、職人としてやりがいも感じています。独立してからも始めはずっと専門でやっていました。ただ、棟梁として仕事をする中でふと疑問に思い始めたんです。社寺建築の場合、元請けは大手建築会社さんでその下請けとして職人の僕らが現場に入るのですが、いい時も悪い時もお客さまには僕らの存在はあくまで下請けにしか見えない訳で。存在が全て消えてしまっているんですよね。「現場の責任は俺がとる!」という想いでいる自分の熱さに、職人としてのロマンを感じていたので、現実とのギャップに悩むようになっていました。そこで、元請けで直接お客さまと仕事をするにはどうしたらいいかと考えて6年前に注文住宅をやることを決意して㈱工匠を設立しました。
Q)注文住宅を扱ってみていかがでしたか?
とても面白いです。宮大工として、木はたくさん扱ってきましたので技術には自信はありましたが、注文住宅だからこそ感じる楽しさがあります。一番は、お客様ごとに<想い=こだわり>が違うので、そのゴールに導く為に会話を重ねイメージを一緒に造りあげていくことです。こちらも、お客様の想いに負けないようにどんどん熱くなっていって打ち合わせだけで約30回になってしまう時もあるのですが。(笑)でも、そうしたお客様と一緒に造っていくプロセスはとても嬉しくやりがいを感じています。
【施工実績】
【施工実績】
■ 新たにブランディングにも着手。19年1月にWEBサイトをリニューアル予定。
Q)PRについてお聞きしますが、集客はどうされていますか?
現在は、ちょうどブランディング全体を整理し始めたところです。総務・企画部長の稲垣和馬を中心にWEBサイトのリニューアルと、基本プランの設定を行っていることころです。WEBサイトは、現状がスマートホン対応になっていないので、これはまずいなと。今はお客様のほとんどは、PCよりもスマートホンを利用される率が圧倒的に高いはずですので。それでWEBサイトの改修を考え始めたのですが、その時にフルオーダーの注文住宅という弊社の訴求ポイントも今一度お客様の立場になって考えてみようとなったんです。明確に頼みたいことが整理出来ている方はそれほど多くないはずで、そうしたお客様にも興味を持っていただく為には、入り口を作ることが必要だと気付きました。そこで、標準仕様という考えで「規格住宅=結(ゆい)」「フルオーダー住宅=誂(あつらえ)」という2つをブランドとして訴求していく予定です。新しいサイトは、2019年1月にはオープンする予定で準備しています。
【インタビュー時/右)総務・企画部長 稲垣和馬様】
Q)大手ハウスメーカーとの差別化についてはどう考えていますか?
そうですね。実際の競合店と意識しているのは、大手はもちろん、自然素材を扱ってる工務店も含めてになります。弊社の1番の売りは、職人としての技術力にあると思っています。「言われたことなら何でも出来る=木を扱うことなら任せてください」ということを、積極的に発信していきたいと考えています。実際、木を使った家具やキッチンの制作依頼も頂き、お客様に喜んでいただいています。素材へのこだわりはもちろんですが、それを使いこなす技術があってこそお客様に喜んでいただける「家造り」出来ると考えています。
【事務所の打ち合わせデスク/木材から削り出し製作したオリジナル(㈱工匠作)】
Q)新しく家具製作のブランド化も考えているとお聞きしましたが?
はい。弊社の強みである「木を使うことなら何でも出来る」ということをもっとカタチにしていきたいと考えています。今までも、弊社が建築した家のお客様から木造の家の仕様に合わせた家具を作ってほしいというご依頼をたくさんいただいています。とても喜んでいただくのですが、1点モノの制作だとどうしても高いコストでのご提供となってしまいます。少しでもコストも抑えた上で、お客様の満足していただけるよう、今後家具造りは、積極的に事業化を進めていきたいときたい考え、現在準備を進めているところです。
■ お客様の想いに、職人の想いを込める。絶対後悔させない<いい家>を。
Q)最後に、稲垣社長の考える“いい家”とは
やっぱり永く安心して住める家というのはもちろんのことですが、<お客様の想い>に僕ら<職人の想い>を一緒に込めて造った家だと思っています。お客様にとって一生に一度となる家造りを絶対後悔させたくないという想いで、今後も丁寧に仕事と向き合っていきたいと思っています。
【インタビュー撮影後/作業場にて】
取材後記)
千葉県松戸市にある事務所にお邪魔し取材させて頂きました。宮大工として、16歳で職人の世界に入った稲垣社長。最初の3ケ月無給で、弟子入りした話をされている顔が、懐かしく楽しげで、今の自分があるのは、修行時代があってこそとおっしゃっていたのが印象的でした。やりたいことを仕事にするという決意があるからこその職人の世界。千葉の松戸に本物を感じさせる匠に出逢いました。
㈱工匠
〒270-2232 千葉県松戸市和名ケ谷1472
TEL)047-712-1305 FAX)047-712-1306
公式ホームページ → http://shimousa-kousyou.com