岸建築|代表取締役 岸 宏和 氏|神奈川県茅ケ崎市
神奈川県茅ケ崎市出身。大学で建築学を専攻し卒業後、家業である岸建築に入る。
大学在学中に研究した、TIP構法(木造耐震工法)を自社工法に取り入れる。またお客様に木の良さを感じてもらえる為に、手刻みでの作業や仕入れ素材の目利きによって良質な木材の調達に、手間を惜しまない。地元茅ヶ崎と木材をこよなく愛する老舗の3代目こだわり大工職人。
モットー/「人に嘘をつかない」
好きな音楽/ダンスミュージック(ジムでランニング中に聞いてます)
趣味/御神輿担ぎ(小さい頃から)
家族/奥様、子供2人(娘6歳、息子4歳)
■ 創業86年の老舗工務店の3代目。TIP構法(木造耐震工法)を採用。
Q)岸建築の業務内容と特徴について教えてください。
弊社は、祖父の代から数えて私で三代目になります。創業86年、地元茅ヶ崎でずっと新築・リフォームなどの家造りを行ってきました。永いお付き合いのお客様が多く、「家のことで困ったことがあれば何でも」というスタンスで業務を行っています。
Q)この仕事に就いたきっかけを教えてください。
小さな頃から自宅の1階が父親の作業場、2階が住まいという環境の中で育ってきましたから、気が付いたら大工という仕事は当たり前のモノとして意識していました。高校進学の際には、すでに家業を継ぐと決めてましたから。父親と相談し、これからはしっかりした知識も身に付けた方が良いというアドバイスで普通科の高校へ進学し、大学で建築学を学びました。
Q)御社の特徴として挙げられる「TIP構法」は、大学時代の卒論テーマだったとか。
はい。大学では主に「TIP構法(木造耐震工法)」を研究し卒論のテーマにもしました。大学卒業後弊社に入社する際、先代の父に、手間は掛かりますが耐震性に優れた「TIP構法」の利点を丁寧に説明し採用してもらいました。それ以来、約21年間ずっと弊社の耐震工法としてお客様にご提供し、とても喜んで頂いています。
【左)創業86年を感じる老舗の看板 右)施工実績/飲食店2階を木を感じることのできる仕様に。】
Q)ビジネスパートナーである奥様・佳代子さんは、一級建築士とお聞きしましたが?
はい。彼女は、先ほどのTIP構法を研究している縁で知り合い結婚したのですがとても優秀な建築士です。女性目線の優しく生活導線などを意識したデザインで、お客様からとても好評を頂いています。彼女は、耐震工法に精通しているのは勿論のこと、私がこだわっている良質な木材を使う家造りの一番の理解者でもあります。職人目線で見ても、とても信頼のおけるデザイナーです。
Q)デザイナー・佳代子さんから見て、職人としての宏和さんは?
一言で言うと、「木をふんだんに使った家造り」にこだわりを持った職人ですね。手刻み出来る腕を持っているのでプレカットの木材を使わなくて良いのは、とても有難いです。デザインの上でお客様のオーダーに合わせた仕様が可能となり、本当の意味での自由設計が出来ますからとても信頼のおける存在です。ビジネスで考えると、少しコストを考えて木材の使用を抑えた方が利益が出るのかもと思うんですが、彼の中に岸建築の売りは「木の良さを感じる家造り」という強い信念があるので。ここだけの話、ウチのお客様はとてもいい買い物をされていると思います。(笑)
【左)一級建築士である奥様・佳代子さん。心強いビジネスパートナー。】
【OBのお客様には、季節毎に挨拶状を。佳代子さんがデザイン。】
■ 「木の良さを感じる家造り」の為には、手間と努力は惜しまない。
Q)先ほど「手刻み」と「プレカット」というお話が出ましたが、わかりやすく教えてください。
はい。木材を仕入れ、資材として使える状態にするには切り出しなどの加工をしなければなりません。昔は、大工職人が「手刻み」と言って、自ら木材を加工する作業を全て行ってきました。しかし、現在は「プレカット」と言って、木材を工場に出し、決まった規格にカットするのが主流になりました。これは、大工職人の人材不足や工期短縮などの面での利点はあります。しかしカットの規格が制限されるのでデザイン面での自由度がなくなるデメリットもあります。弊社では祖父の代から当たり前のように「手刻み」の作業を行ってきましたので、今も続けています。
【施工実績/天井部分を、こだわった船底天井に。難しいオーダーにも確かな腕で応える。】
Q)実際「手刻み」の作業は、時間と労力の部分で大変ではないですか?
そうですね。確かに仕事量は増え大変です。しかし、大工職人としてはとても大事な部分だと思っています。最近は、技術として出来る職人も減っていると聞いていますが、家を造る際の自由度を増やす意味ではとても大きいですよね。また、良い木材を出来るだけ多く使用する為には、材料費を少しでも安くするという努力も必要です。その意味ではカットする人件費も自社であればコスト調整することが出来、お客様にも喜んでもらえる結果に繋がると思っています。
■ きちんとした知識と経験を持って、お客様に丁寧に伝えることが重要。
Q)お客様が、岸建築を選ぶ一番のポイントは何だと感じていますか?
そうですね。やはり、一番は「木材にこだわった家造り」ではないでしょうか。よくお客様から耳にするのが、大手ハウスメーカーと勧める材質などが違うという点です。例えば、「自然乾燥の無垢材」。これは、木の良さを一番感じることの出来る素材ですが、反りなども出やすく扱いにくい素材でもあります。きちんとした知識でお客様にも説明しないと、クレームに繋がる可能性があるので一般的に大手ハウスメーカーなどは推奨しないモノだと思います。しかし、弊社では「木の良さを感じる家造り」がテーマですから、当然大事な素材としてお客様に推奨しています。その際、きちんとした知識と経験を丁寧にお客様に伝えるようにしています。その結果、お客様のこだわりを活かすことが出来、喜んで頂けているように思います。
Q)それは、結果的に大手ハウスメーカーとの差別化になっているということですか?
はい。特に意識してやっている訳ではないですが、弊社なりのこだわりを守っているうちに自然と違いが出てきたという感じです。そうした違いを、はっきりさせることで、「岸建築がいい!」と言ってもらえるお客様に出会えるのではないかと思っています。
■ 今、課題として取り組んでいることは何でしょうか?
Q)お客様が、岸建築を選ぶ一番のポイントは何だと感じていますか?
やはり、PR=集客の部分ですね。弊社は小さな会社なので、今までは時間と資本をつぎ込むことが出来ずにきました。それでも、新しいお客様との出会いを作る為には、注力していかなければいけないと考えています。現在行っているfacebookでの、施工実績などの情報アップに加え、様々な形での情報発信を積極的に行っていきたいと考えています。
Q)最後に、岸代表の考える“いい家”とは
弊社は、手間をかけることを惜しまず、「木の良さを感じる家造り」にこだわっています。しかしそれは全て、そこで暮らすお客様の生活をより快適にする為のモノだと思うんです。常に、お客様の生活=ライフスタイルを意識した家を考え続けることが、いい家に近づけるのではと考えています。
取材後記)
神奈川県茅ケ崎市にある事務所にお邪魔し取材させて頂きました。にこやかな表情で、インタビューに答えて頂いた岸代表。「ここ茅ヶ崎で生まれ育ったので、この土地にこだわって仕事をしていきたい。この土地のお客様は、こだわりのあるお客様が多いので、そこが僕は凄く仕事をしていて楽しい」と嬉しそうに話されていたのが印象的でした。創業86年の老舗の看板の重みを感じながらも、家造りを楽しむ職人。神奈川県で茅ヶ崎と木材をこよなく愛する匠に出会いました。
岸建築
〒253-0043 神奈川県茅ヶ崎市元町11-3
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