株式会社提坂工務店|代表取締役 提坂 大介 氏|静岡県島田市
プロフィール) 静岡県島田市出身。高校卒業後上京。その後㈱ダスキンでの営業職を経験した後、父である四郎氏が経営する(株)提坂工務店に入社。地元の大井川流域産材の木材にこだわり、お客様の思いを形にすることに労力を惜しまず、ヒアリングに約3時間かける対話重視の家造りの姿勢が評判となる。
創業53年の重みを感じながら、お客様への安心の形を常に模索する経営者。
好きな言葉/「運は縁、縁は運」
趣味/「神社巡り」
好きな映画/「バッドマン」シリーズ
好きな音楽/ジャズ
■ 「地元の大井川流域産材にこだわり、健康と心に優しい家造り」
Q)㈱提坂工務店の業務内容と特徴について教えてください
弊社は、注文住宅の設計・施工を中心に不動産業務も含め、この地元島田市を中心に業務しています。自分達の目がしっかり届く範囲の仕事をしていきたいので、現在は年間6棟~8棟を受注し、地元大井川の流域産材にこだわり、健康と心に優しい家造りをコンセプトにしています。僕らも地元の大井川の水で育っていますから、同じ水で育った木に囲まれていることは心の安定にも繋がると考えています。
Q)この仕事に就いたきっかけを教えてください。
この仕事に就いたのは、21歳の時です。元々は全くこの仕事に興味がありませんでした。学校を卒業した後、㈱ダスキンに就職しルート営業の仕事をしていたのですが中々仕事にやりがいを見いだせなかった時に、小さな頃よく父が「大介は大きくなったら、俺と一緒に仕事するんだよな」と言っていた言葉が浮かんできたんですよね。それで、父にお願いして㈱提坂工務店に入社しました。
やっぱり、小さな頃から楽しそうに仕事をしていた父の姿がどこか頭にあったんだと思います。
【㈱提坂工務店(静岡県島田市)/創業53年の歴史を感じる看板】
■ 「建てっぱなしは、ダメ! 家も人間関係も、必ずメンテナンスが必要なはず」
Q)入社されてからは、どんな仕事をされたんですか?
はい。僕は職人の現場に入るつもりだったんですが、社長である父に「これからは、営業が大事な時代になるから、勉強しろ」と言われ営業としてスタートしました。でも丁度入社した頃が、バブルがはじけて大変な時期だったのもあって、全く売れなくてすごく大変でした。社長は職人上がりなので、特に営業手法がある訳でもなかったので、教えてもらう訳でもなくまさに自分で考えて動くということを繰り返していました。そこで、自分の出来ることから始めようと考えたのが、OB顧客の定期訪問でした。
Q)OB客回りを始めようと思ったきっかけは?
はい。どうセールスをしていいかを悩んでいた時に、ふと前職で行っていたルート営業回りのことを思い出したんです。毎日約70軒のお客様を訪問していたんです。車で回るので、どのルートでいくのが最適かということを計算して時間のロスをなくしたコースを作って回っていました。当然、沢山のお客様と接触することで、営業にもつながることを実感していましたので、これを自社に当てはめた時に元々つながりのある顧客をすべて回ることから始めたらどうかと思ったんです。当時約200軒あった顧客リストを見て、3日で回れるように、最適な訪問ルートを作って毎月1回は必ず伺うと決めてスタートしました。そこから結局10年間ずっと1人で毎月続けていました。
【施工実績/「オリジナル薪ストーブのある自然素材の家」】
Q)OB客訪問の営業成果は、どうだったんですか?
結果としては、中々数字に結びつかなかったですね。細かなリフォームの話とかは頂きますが、家を建てるみたいな話には、ならないですよね。でも、通っているとやっぱりお客様との距離がどんどん近くなってくるのがわかるんです。それを感じていたから、続けられたと思います。結局その時の営業成果を感じたのは、最近になってからです。20年前に訪問したお客様のお子さんが成人されて、ご両親含め「提坂さんにお願いするよ」って、声かけていただけるケースが増えているんですよ。本当にありがたいです。
今でも、忙しい時間を縫って、年に1回は必ずOB客訪問できちんと顔を合わすようにしています。自分が回ってみてわかったんですが、やっぱり建てっぱなしはダメなんですよね。家も人間関係も必ずメンテナンスが必要で、きちんと手入れをすれば永く続くということに気づきました。
【施工実績/「バイクガレージのある家】
■「PRは、来てもらいたいお客様に届くように言葉を選んでいる」
Q)WEBサイトを拝見しましたが、PRについてはどうお考えですか?
昨年WEBサイトを作りました。まだまだ、直したい部分はたくさんあるのですが、基本は弊社に来ていただきたいお客様像をイメージして、その人達に届くようなメッセージをと考えて言葉を載せるようにしています。広くたくさんの人にというよりは、弊社の良さをわかってくれるお客様だけに伝われば十分だと思っています。そういう人たちとつながれることを、ネットを含めPRでは心がけています。
Q)WEBサイトの「お客様の声」に「わがままを聞いてくれる」と複数の方が載せていますが?
はい。お客様の声は、頂いたものを一切修正せずに載せています。その中で、「わがままを聞いてくれる」と書いてもらってるんですが、どこがわがままだったか、全くわからないんですよね(笑)
弊社の特徴として、ヒアリングにとても力を入れているのは事実です。特に最初のお打合せは約3時間くらいは話をします。いきなり、「家の仕様は?」と聞かれてもお客様も答えられないですよね。だから、趣味やライフスタイル含め、直接家造りに関係なさそうな情報も幅広くお聞きするようにしています。そうした言葉に含まれているふわっとした「こんな生活をしたい」という思いをキャッチして、「こんな家はどうでしょうか?」って提案するみたいな。それが、家造りのプロセスの中でとても重要なことだと考えてます。もし、お客様がその部分を含め「わがままを聞いてくれる」と言っていただけてるのであれば嬉しいですね。
【公式ホームページ/㈱提坂工務店】
Q)大手ハウスメーカーとの差別化については、どう考えていますか?
う~ん。あまり考えていないですね。大手ハウスメーカーを気に入っているお客様を無理やりとろうなどとは全く考えていません。それよりも、目の前のお客様にどうやったら弊社「家造りへの思い」に共感していただけるかだけに注力するようにしています。お客様と、大手ハウスメーカーの話題が出ても絶対悪口は言わないようにしています。職人である会長の教えもありますが、ウチの職人はいい仕事をするし、家造りへのこだわりはどこにも負けないというプライドがあるので、目の前のお客様の想いに答えることに全力で取り組めば自然と次のお客様につながると思っています。結果として、ひとつひとつの現場に全力投球することが差別化になるのではないかと思います。
【施工現場にて/腕ききの職人(宮浦さん、提坂四郎会長、村田さん)】
■「10年経って「やっぱり提坂さんで良かった!」って言ってもらえる家を。」
Q)最後に、提坂社長の考える“いい家”とは?
そうですね。住んでみて10年経った時に、「やっぱり提坂さんで建てて良かった!」って言ってもらえる家ですかね(笑)弊社で建てて良かったという言葉には、色んな意味が含まれると思っています。どんなにデザインの素晴らしい家でも、面倒を見る工務店がいなかったら、困るはずです。家造りは、やっぱり建てっぱなしは、絶対ダメだと思うんですよね。「安心を渡せる家造り」をこらからも心がけていきたいです。
取材後記)
静岡県島田市にある事務所にお邪魔し取材させて頂きました。終始にこやかにインタビューに答えて頂いた提坂社長。毎月のOB客訪問を10年間、自分のルーティンワークとして行ってきた経験からたくさんのことを学べたとおっしゃっていました。会長である父が守ってきた看板があることは、とても大きな信用であることをその時に実感されたそうです。「地域密着とは、継続であり、信用である。そうした信用の看板の上に、自分の代でまた新しい安心を生み出していくようにしたい」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。静岡で先代から受け継いだ看板を、一層輝かせる安心の匠にお会いしました。
㈱提坂工務店
〒427-0011 静岡県島田市東町230
TEL)0547-35-3376
E-Mail)sage@ca.thn.ne.jp
公式ホームページ → http://www.hinokino88.com/