株式会社ダンホーム|代表取締役 松嶋 一視 氏|北海道河東郡音更町
プロフィール) 北海道出身。大手家電量販店で勤務の後、先代社長からの誘いで7年前に㈱ダンホームに入社。その後代表取締役に就任。家電量販店時代に培った顧客分析力と膨大な顧客リストを活かし現在、㈱ダンホームを年間受注数、約25棟の人気工務店へと成長させる。
モットー/「プラス思考」
趣味/渓流釣り
好きな音楽/T-SQUARE、カシオペア
■ 「ここ十勝地区は、農業の盛んなエリア。農家のお客様がたくさんいらっしゃる。」
Q)㈱ダンホームの業務内容と特徴について教えてください。
弊社は、注文住宅の設計・施工をメイン業務にリフォームや太陽光パネル設置などの工事も行っています。年間施工数としては、約25棟をやらせていただいてます。対象エリアとしては、隣接する帯広市を中心とした十勝地区になりますが、このエリアは、農業が盛んな所なのでお客様にたくさんの農家さんがいらっしゃいます。そうした、ニーズに合わせた家造りをご提案させてもらっています。
【㈱ダンホーム事務所/北海道河東郡音更町】
■ 「前職・家電量販店からの転職で、7年前に<家造りの世界>へ。」
Q)この仕事に就いたきっかけを教えてください。
実は、家造りの仕事に就いたのは7年前で、直前は大手家電量販店に勤めていました。そこで、オール電化などの取り組みで、先代社長と一緒の仕事で少し家造りに関わったことがきっかけです。その後先代社長から㈱ダンホームでやってみないかと誘ってもらってこの業界に入りました。
Q)それは、ヘッドハンティングということですよね。異業種で、不安はなかったですか?
う~ん、どうなのかな。(笑)正直、不安はあまり感じていなかったですね。前職の家電の販売も、家の中の生活に関わるというモノでしたので、扱うモノ・金額は違いますが凄く共通点があるなと思っていました。だから、不安というよりはどうやって前職で得た知識やアイデアをこの業界に持っていけるかというのを少しワクワクしていました。あと、営業エリアが変わらず同じここ十勝地区だったので色んな人達とのつながりも活かせるというのも大きかったですね。自分としては、意外と違和感なくすんなりこの仕事に馴染んでいったと思います。
【施工実績/冬が長い北海道十勝地区の気候に適した実用的な仕様】
■ 「地域性を認識することから全てが始まる。エリアニーズを把握すれば戦える。」
Q)実際に、この業界に入っていかがでしたか?
そうですね。一番感じたのは、色々マニュアルみたいなものが多いのかなと。この仕事だけではないですが、俗にいうコンサルティング会社の方たちが、「こうすれば売れます、業績が伸びます」というのを信用しすぎているのではと感じました。その意味では、たくさん創意工夫する余地が残されているなというのが本音でした。
Q)それは、具体的にどういうことですか?
全国的に共通な営業マニュアルみたいなものは、どの業種でもありますが、それをカスタマイズすることで初めて成果が出ると思うんです。特に市場ニーズを正確に把握することは、とても重要だと思っています。私が、前職で学んだことは勤務する店舗によって品揃えを変えないと成功しないということです。全国一律で同じ人気商品ばかり置いていても、お店の業績はあがらないです。そのエリアのニーズに合わせた商品構成とお店造りが、売り上げに直結します。実際この十勝エリアの店舗に赴任してきた時、冷蔵庫の売り上げが今ひとつだったので、お客様の声を聞いたり色々調べてみたんです。そうしたら、実はお店の商品棚になかった500リッター以上の冷蔵庫を欲しいというお客様の声がとても多かったんです。このエリアは農家さんが多くて、農作物をたくさん収容しておけることは冷蔵庫に求める大切な購入条件だったんですよね。そこで急いで、品揃えを大容量のモノを中心に変えたところ売り上げが大幅に伸びたんです。こうした経験は、扱うモノが家電から住宅に変わっても、必ず大切になってくると思っています。
Q)松嶋社長は、家電量販店時代に「独自の顧客データ」を集められたと聞いてますが。
はい。初めは、よくある店舗で管理していたお客様の基本情報のみだったんです。そこに、自分が家電の修理などでご自宅に伺った時に、感じたこと、気づいたことを色々書き足していったんです。お年寄りだけで、2階への上り降りが大変だとか、農家なので忙しい時期に毎日買い物には行ってられないとか、数字というよりは、各ご家庭の生活スタイルの特徴みたいなモノを。そうしていくうちに、色々な共通点というかエリアの特性みたいなモノが見えてきたんです。そこで、気づいたのが、家電修理でご自宅に上がらせて頂くことは、すごい<マーケティングリサーチ>なんだいうことです。
■ 困っている時に、駆けつけることで、お客様との距離感も必ず近くなる。
Q)アフターサービスとして行っている修理が、実はマーケティングリサーチになっていたと。
そうです。店頭の販売では、値段の話とか商品の機能の話ばかりですよね。お客様のニーズは、ご本人の口から聞くことはなかなか難しいです。しかし、ご家庭の中に入らせていただければ、そこの生活スタイルを想像することができ、お客さまのニーズを見つけることが出来るんです。修理の合間の何気ない、日常会話でも興味を持っていること、困っていることなど様々なヒントを頂けます。そうした気づきを、きちんとデータとして管理・分析することで、お客様にとって「自分のことをよくわかってくれている人」として認められるんじゃないかと思うんです。この取り組みは、業種が変わった今でも同じことだと考えて継続して顧客データをとり続けています。
Q)住宅業界でいうと、修繕・リフォームなどがそれに該当しますね。
はい。家電販売と違いもちろん、お客様の購入サイクルがもっと長期になりますが基本の考え方は一緒だと思います。個別のお客様ニーズをきちんと把握でき、なおかつ地域性などのマーケティング分析もできる。仕事を生みだしていく工程としては、地味ですがとても大切なモノだと考えています。特に、ここ十勝エリアは、一般的なセールスが通用しにくい土地柄です。お客様と壁を作るというか、気を遣っているのを感じさせるようなコミュニケーションではなかなかモノが売れません。もう少し近い距離感が必要で、そうした関係作りをする意味では、「困ってる時に駆けつける」ということがお客様との距離もぐっと近づけてくれます。だから、ウチのお客様には、「何か困ったことあったらいつでも僕の携帯を鳴らして!」と言ってますし、実際夜中にもよくかかってきますよ。(笑)
【松嶋社長が、全幅の信頼を寄せる(右)山本晃弘常務取締役と。設計・施工管理すべてを担当する。】
Q)トラブル対応するには、実際それなりの人員体制などを準備しておかなければなりませんが。
はい。実際弊社は、社員7名ですので自社だけでは対応できないこともあります。その為に、各分野の協力会社さんとも連携を組んで取り組んでいます。小さな会社ですから、分業できる部分をきちんと考えていかないと新しいことにもチャレンジできないですからね。そうした意味でも、ウチの社内も完全に分業化してます。社長の私は、顧客の方々から発注のご依頼を頂いてくるのが仕事で、その先の設計・施工管理は常務の山本が全て行っています。色々なやり方があると思いますが、㈱ダンホームのダンは、団結のダンで、弊社がたくさんの受注を頂き対応できているのは、こうしたチーム全員で取り組んできたからこそと思っています。こうした考えは、事務員から建築現場の職人にいたるまで信頼しあって家造りに取り組んでいます。
【社名の「ダンホーム」は、団結の団を意味する。協力会社や現場の職人すべてで家造りに向き合う。】
■ お客様の満足感は、住んでからの快適さ。お客様の<ニーズを想像する力>が重要。
Q)最後に、松嶋社長の考える“いい家”とは?
やはりお客様の満足感を満たせることの出来る家ですよね。ただ、これは完成し引き渡した時点ではまだわからないことで、そこに住み始め、日常の中で快適さを実感して初めて感じて頂けるモノです。
そういう意味では、<ニーズを想像する力>が重要で、そのお客様がどこに快適さを感じるのかを見つけ出すことができるのか。この点で<いい家>にできるかどうかが決まってしまうと思っています。
取材後記)
北海道河東郡音更町にある事務所にお邪魔し取材させて頂きました。家電量販業界から転職された松嶋社長のお話には、常に冷静な分析や考察がされていて「なるほど!」と頷くことばかりでした。特にエリア特性をきちんと把握するという点に関しては、マーケティング分析をもっと強化してやるべきと痛感しました。マーケティングというと、リサーチ会社の統計数字などの大規模なことをイメージしがちですが松嶋社長は、自分の足で1軒1軒から話を聞いてまわることが大切で、そこでの気づきこそが使えるマーケティングだとおっしゃっていました。これからの工務店経営にとって、たくさんのヒントを頂けたとても有意義なインタビューとなりました。
㈱ダンホーム
〒080-0101 北海道河東郡音更町大通6丁目3-2
TEL)0155-67-0085
E-Mail)dan-home@kmail.plala.or.jp
公式ホームページ → http://www.dan-home.co.jp/