今世の中で話題になっている事象にスポットを当てみなさんにわかりやすくお伝えする「おとわさんのトレンド解説。はなしのタネ。」第2回目のテーマは、ちょっと難しく聞こえてしまうITのお話。えっ!ITは家造りには関係ないだろうって?とんでもない。
それが大アリなんですよ。昨年一世を風靡した携帯ゲームの「ポケモンGO」ならみなさんご存知ですよね。今回は、それと同じ技術を使って家具を売ろうと話題になってるあるサービスに注目してみました。早速そのサービスを展開をするIKEA船橋に実態調査行ってきました。
■家具のスマホ用ARアプリ「IKEA Place」って何?
今回取材した<家具のスマホ用ARアプリ>とは、ソファやアームチェア、収納棚など、IKEA家具が約2,000点以上掲載されたアプリ内の電子カタログから商品をタップし、スマートホンをかざすだけで部屋のどこにでも家具の設置をイメージシュミレーションできるアプリです。みなさんが家具を買う時に悩むのは、新しい家具を部屋に置いた時にサイズはもちろん、現在持っている家具の色やデザインと調和が取れるかどうかで悩みませんか?そんな悩みを解決してくれるのが、スウェーデン発の家具量販店IKEAがリリースしたARアプリ「IKEA Place」です。スマートホン内のアプリを開いてカメラのレンズで床を映すとその部屋の空間を認識し、きちんと床に接した状態でその部屋に正確なサイズ、生地感、光と影の加減も現実に近い3D家具を設置することが可能です。
下にある写真は、実際の店舗で「IKEA Place」3D家具のアームチェア(左)と実物のアームチェア(右)を比較してみたモノです。どうですか?サイズや空間認識はほぼ正確です!このサービスは大きさを測ったりする手間の軽減にはとても役立ちます。ただ、やっぱり生地感や光と影の加減などは、多少違ってしまうようです。(これは、仕方ないのかもしれませんが…この点は今後、まだ少し改良の余地があるかもしれません。)
【実店舗で撮影。左側がARでのバーチャル家具。右側が実物家具。大きさはほぼ一緒。】
■IKEA日本法人は「IKEA Place」で巻き返しを狙う!?
家具量販店世界大手のIKEAはシンプルでオシャレな北欧デザインの家具や雑貨を販売し、日本でもファンが多いですが、日本での業績が伸び悩んでいることはみなさんご存知でしたか? 2017年8月24日に発表された決算公告によると、日本法人の業績は2013年度には約87億円あった営業利益が2016年度には約16億円にまで減少しています。店舗数に関しては、2006年に千葉県船橋市に日本1号店をオープンしてから、現在までで全国で9店舗のみです。他社との競争が激化していることが原因ですが、特にニトリの勢いが止まりません。
ニトリは北海道で発祥し、1987年度から30期連続で増収増益、営業利益が857億円と日本最大の家具量販店です。全国約400店舗の郊外型店舗だけでなく、最近は渋谷など都心型店舗も増やし始め、仕事帰りにふらっと家具や雑貨を買っていく消費者の獲得を目指しているようです。そこで、IKEA日本法人は、消費者に「IKEA Place」を活用してもらい、著名デザイナーとのコラボ家具やペット家具などを自宅に居てもサイズ感や生地感、光と影の加減も現実に近い3D家具で選定、ネット注文まで行ってもらう狙いがありそうです。
■家具の提案までできる「工務店」が求められる時代は近い!?
ただ、こうした企業間競争で生まれたサービスは、工務店にとってはうまく使ったらビジネスチャンスに繋がるかも知れません。このアプリが一般共有用になったらそれを使って工務店がお客様に家具のレイアウトイメージを携帯の画面で見せちゃう…なんて時代がすぐ来るかもしれませんよ!実際、私が親しくさせて頂いている工務店様でも家具まで提案しているところが増えてきています。工務店様が家具屋さんと連携し、自社内のショールームに家具や雑貨を置き、お客様に新築やリフォーム後の部屋のイメージをしやすくし受注に繋げているというお話です。これからの家造りでは、お客様目線にたち完成イメージをどう一緒に作り上げていくかというのも大切な要素になってくるはず。そういう意味では、家具などインテリアショップとの協力関係は必要不可欠かもしれません。