2020年10月23日(金)に発行された「快適あんしんリフォーム」会員向けのメールマガジン内でご紹介した、リフォーム産業新聞10月号の記事となります。
自然災害が起きた時のOB住宅をどのようにフォローしていくべきか、災害対応に積極的な工務店事例をご紹介します。
いざという時の為に備えて、是非参考にしてみてはいかがでしょうか。
是非ご一読ください。
▼▼以下、記事内容です▼▼
OBの安全確認を最優先に
頻発する自然災害―――。工務店やリフォーム事業者は被災したOB宅をいかにフォローできるかが問われ始めている。
自社の商圏で災害が起きた時にどのようなOBフォローを行えば良いのか。
災害対応に積極的な企業の事例を元にポイントを解説する。
■近年発生した主な災害
POINT 1
早急な復旧リフォームを
復旧の手助けも重要だ。とちぎリフォームでは負担を減らそうと、使えるリフォーム助成金情報を掲載したはがきを全OBに配布した。2つの補助金を合わせると100万円ほど助成されることもあり、1000万円級の改修10件の受注にも繋がった。
被災直後はボランティアにも乗り出すケースもある。熊木住建は床上浸水したOB宅で、社員が水出しを行い、大量のおにぎりを購入し近所にふるまいなども行った。
櫻井建設も同様。水の引いた後には、OBからの要請を受けてOB家族が被災した隣町の住宅に櫻井社長と職人2人が訪問。床上浸水により泥の上がった畳を剥がし、床下に薬剤を無償で散布するなど、ボランティアで地域の復旧に取り組んだ。
とちぎリフォームが台風後に行ったユニットバスの施工現場。
床上浸水しカビが生えていた。建材の交換や消毒を行い、工事を進めた
POINT 2
防災に必要な道具を準備
櫻井建設は「地域防災ステーション」の看板を掲げて、日頃より地域の中で防災、減災の啓蒙に取り組んでいる。社屋には防災倉庫を持ち、ジャッキやワイヤーペンチなど救助に必要な道具を備えるとともに、災害発生の際には防災の拠点になる準備を行っている。
「これまでは強い住宅を作ることで地域の生活を守る意識でしたが、そこから発展して安心して生活してもらう活動を行うことが、地域に生きる工務店としての社会貢献と考え、災害対応に当たっています」(櫻井社長)
櫻井建設の防災倉庫
また、熊木住建も高圧洗浄機20台を用意しており、希望者には24時間以内であれば無料で貸し出した。さらに、本社内に作った複合施設「and LIFE(アンドライフ)」を避難所として無料開放するなど、災害の発生に備えた取り組みを行った。
こうした、災害発生時に工務店が積極的に地域のサポートに回る必要性を啓蒙しているのが日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(東京都千代田区)だ。小野秀男理事長は「災害による被害を防ぎ、減らすことが地域の工務店の使命」と語る。
同組合は4年前から1000社の加盟企業に対して指導を実施し、数十社が賛同して活動している。具体的には、各社が災害に備えて、ブルーシートやバール、カッターロープなどを保管し、災害発生時には社員が持ち出して、救助にあたるなどだ。2016年の熊本地震では、消防隊員と工務店のスタッフが協力して、倒壊した住宅から被災者を救助した事例がある。
加えて、同組合は日頃からの防災、減災になる住宅作りを工務店に推奨している。耐震や断熱、延焼しない外壁塗料などを用いた住宅改修が必要、と主張している。「地域を守り役立つことこそが工務店の存在意義です。被災しない家づくりが必要ですし、ビジネスチャンスもあるんです」(小野理事長)
木耐協が組合員に配布する工務店が行うべき防災マニュアル
災害への積極的な取り組みによって、ビジネスチャンスが実際に広がっている。
熊木住建では、昨年の台風以来、被災した人の中から建て替え案件や、新規のリフォーム依頼がホームページやメールで来るようになった。
地域で信頼されることは、商品のデザインや安さなど他社と比較できない工務店の強みになる。災害対応に万全な準備ができれば、新たな集客チャネルの獲得にもつながるのではないだろうか。