銀座 久保田(東京都中央区銀座8-8-8 銀座888ビル 3F)
今世の中で話題になっている事象にスポットを当てみなさんにわかりやすくお伝えする「おとわさんのトレンド解説。はなしのタネ。」第16回目のテーマは、1985年の銘酒<久保田>の発売以降、売上高や利益率共に堅調に伸ばしている日本清酒製造業<朝日酒造㈱>のお話。お酒が好きな皆様!!お待たせいたしました!!朝日酒造㈱は新潟県長岡市に所在する地場産業企業として、久保田を筆頭に清酒の製造、販売で売上高約80億円を達成しています。人口減少や食文化の変化など清酒業界が著しく衰退している中、久保田のブランド価値を高め、永続的に人気を博しています。そこで、<朝日酒造㈱>はどのような戦略で<久保田>の売上高を伸ばしているかを調べるべく、朝日酒造㈱のコンセプトショップ<銀座 久保田>へ実態調査に行ってきました。
【カウンター上部には、<久保田 千寿>のボトルがずらりと】
【銀座 久保田でしか呑めないお酒が豊富】
30年以上絶大な人気を誇る朝日酒造㈱の銘酒<久保田>って何? ?
銘酒<久保田>は、高度成長期において、食文化やビールなど代替品が増えていく中で、新しい消費者像を体現する都会向けの消費者に向けて作られました。30年以上前の高度成長期において増加した頭脳労働者の嗜好変化への対応や、灘の白鶴酒造㈱に対抗するため、他にはない淡麗・辛口という味わいを朝日酒造㈱が実現しました。朝日酒造㈱は元々新潟県内においてはトップの清酒製造事業者でしたが、当時の消費者のライフスタイルの変化や嗜好変化による当時の基幹ブランド(朝日山)の不振を危惧して、新潟独自の淡麗辛口の酒造りを行って開発したのが<久保田>なんです。
【銘酒<久保田五種呑み比べ> ¥2,600円】
【<久保田 萬寿>と記念撮影】
ただ、全国的には灘の<白鶴>が好まれていて、現在でも売り上げは白鶴酒造㈱の方が朝日酒造㈱の4倍以上です。しかし、経常利益率は朝日酒造㈱の方が4倍以上も高いという逆転現象が起きています。つまり、全国的に有名な高価格ブランド商品<久保田>が確立できているということなんです。その秘密を探っていきましょう。
銘酒<久保田>が高価格ブランド商品化できた理由とは? ?
銘酒<久保田>が高価格ブランド商品化できた理由は、市場1%戦略という特約店制度戦略のもと卸売業を介さず、酒販店との直接取引の形態を取ったことです。当時では異例で、メーカーである朝日酒造㈱が酒販店を選び、選ばれた酒販店には安定供給を実施する体制を構築していきました。さらに、朝日酒造㈱の社員が酒販店に出向き、朝日酒造㈱の経営哲学、製造手法、消費者への説明手法を朝日酒造㈱社員主導で行う勉強会を通して、酒販店店主に学んでもらい、店主が<久保田>の良さを消費者に語れるようにしてきました。酒販店にはブランド販売の細則として、43のガイドラインを設けるなどブランド商品化を酒販店から徹底しています。また、酒販店へのリベートや値引きは一切行わず、値引きは「扱っている人間の誇りも削ること」だとし、これに共感する人に売ってほしいと勉強会を通して、酒販店に訴え実行させてきたことが高価格ブランド商品化を実現できたそうです。
【料理も<久保田>に合うメニューばかり】
【メニューも豊富でした】
さらに、今回伺ったコンセプトショップ<銀座 久保田>で料理と<久保田>が合うという体感できたと同時に、高価格でもここまで料理に合うなら納得いく気もしました。こういった実店舗でも<久保田>の良さを体感してもらい、酒販店でも良さを説明してもらうことが更なる継続的に高価格ブランド商品化を維持できるのだと思いました。
【鮭粕煮 個人的には一番<久保田>に合う料理】
工務店も消費者へ住宅商品を説明する前に“経営哲学~製造工程まで”説明するべし!!
ほとんどの工務店は、当たり前ですが、住宅商品を消費者へ効果的に伝えることに注力しているかと思います。自社パンフレットやWEBサイトをどう綺麗に見せようか、どういう営業トークが効果的かなどを日々考えていると思います。ただ、一番大事なことは、朝日酒造㈱も言っていましたが、皆様がどういう想いで住宅商品を消費者に提供したいか、その想いを実現するためにどういう工程で住宅を建てているかをまず消費者へ伝えることです。もちろん、住宅商品の仕様や価格をお伝えすることは大事ですが、そもそも皆様工務店の家造りに共感してくれる消費者から依頼が来なければ、価格競争に巻き込まれ、薄利多売のハウスメーカーに消費者を取られたり、利益率10%以下で請け負わなければならない状況になります。今後、住宅着工戸数が減る中、いかに一棟当たりの坪単価を増やし現状の年間棟数で経営していくことを考えると、まずは皆様の家造りに消費者が共感頂くことから始め、いかに一棟当たりの坪単価を増やしていくかだと思います。
【正直、分かりづらい場所ですが、一度行ってみてください】