【スノーピーク二子玉川(東京都世田谷区瀬田2丁目32−14 玉川高島屋S.C)】

今世の中で話題になっている事象にスポットを当てみなさんにわかりやすくお伝えする「おとわさんのトレンド解説。はなしのタネ。」第12回目のテーマは、世界中から注目されているアウトドアブランドで有名な<スノーピーク>のお話。アウトドアやオートキャンプが大好きな皆様!!お待たせいたしました!!<スノーピーク>はキセルや銅器など地場産業地域で有名な新潟県三条市発祥のブランドであり、オートキャンプ向けのテントや調理具、イベント企画などユーザーが自然と関わる活動をハードとソフトの両面から支援する事業活動を行っています。中核製品である釘など金属製造の大部分は燕三条の地場産業企業と協働で製造し、日本のオートキャンプ対応のアウトドア用品全般を日本で初めて開発から永久保証付き販売まで行っています。そこで、売上高が約100億円と右肩上がりの<スノーピーク>はどのような戦略で売上高を伸ばしているかを調べるべく、実態調査へ行ってきました。


【入口にスノーピークが掲げる消費者への想いが…】


【オートキャンプに適したファッション性の高い服も販売】

■ 人気急上昇中のアウトドアブランド<スノーピーク>って何? ?

<スノーピーク>は、創業1958年の新潟県三条市を拠点とする企業であり、事業内容はアウトドア用品の製造・販売を行っています。代表的な製品は、オートキャンプ向けのテントや調理具が中核で、キャンプ場経営やイベント企画・運営まで行い、ハードだけでなくソフト面からも支援する事業活動を行っています。企業理念としては、「自然指向のライフスタイルを提案し実現する」というものであり、年間平均30泊以上する熱烈なキャンプ愛好家の社員たちが製品開発から販売まで行うらしいです。日本のオートキャンプ環境に適応した製品を初めて開発した企業で、当時、キャンプ用テント市場の平均価格が1万5千円くらいだった時期に敢えて16万円を超える製品を販売する規格外の会社のようです。しかし、ターゲットとしたオートキャンプのヘビーユーザーからは評価が高く、16万円の商品を100張り売上げたとの実績があるそうです。売れた理由の1つとして、販売する製品は全て<永久保証制度>が付いている点です。アウトドア製品は悪天候下で使用し壊れるリスクが高いため、全ての製品に永久保証制度を設けているブランドはありません。製品の品質に絶対的な自信があるから出来ることだと思います。もう1つの理由は、高価格帯商品だからこそ、なぜ高いかを説明できる販売店の厳選やスタッフの育成に注力していたからとのことです。対面による接客を重視し、むやみに客数を増やすのではなく、<スノーピーク>のファンになってもらい1人のお客様の購入額を増やすことを目的としているそうです。例えば、某スポーツ店店舗の平均年坪販売額が95万円ですが、<スノーピーク>の店舗では250万円と某スポーツ店店舗と比較すると2.5倍とのことです。


【初心者向けにキャンプ用品の選び方パネル】


【初心者向けテント<Amenity Dome M>がこちら!32,800円(税別)】

実際、私が店員にキャンプ初心者として、どんなテントが良いのか、キャンプ用品は何が良いのか等を聞いたら、初心者向けのテントや用品、初心者向けイベントなどキャンプを行う上での注意点も含めて色々なことを教えてくれました。店員の接客対応も一方的に話をしてくるわけではなく、相手が何を悩んでいて不安に感じているのかを会話を通して把握しながら、アドバイスをしてくれました。特に参考になったのが、店員のアウトドア経験談を交えての説明だったので、私自身がキャンプするイメージをしながら話が聞けた気がします。さらに、購入後には、店員が設営講習を通しての設営の仕方を教えてくれたり、参加費1,500円/人で参加できるキャンプ初心者向けイベント開催を行っているそうで、購入後のアフターフォローもしっかりしていて安心感もありました。


【キャンプ初心者向けキャンプセットを購入すると、設営講習までしてくれます!!】


【キャンプ初心者向けのイベント企画 2018年12月1日~2日(静岡県富士宮市)参加費:大人1,500円/人 小人500円/人】

■ <スノーピーク>の人気の理由は、店員の実体験を踏まえたライフスタイル提案??

<スノーピーク>の人気の理由は、店員による店舗内やイベントでの実体験を踏まえたライフスタイルの提案だと思います。もちろん、高価格製品が適正価格だということを細かく説明するだけでなく、製品自体からも消費者の新しいライフスタイル創造に繋げられるよう製品の材料、製造工程、製品を作る必要性までストーリーで伝わるように工夫しています。例えば、テントを紐で支えるペグと言われる釘みたいなものでも、この地に伝わる素材、鍛造製法を用いた金属加工で有名な燕三条の協力工場で製造し、硬い地面にも刺すことが出来るようにしており、高価格である理由として、ユーザーの問題解決を行った正統性やストーリーを持っています。さらに、2010年に発売した大ヒット商品のLEDランタン<HOZUKI>は、高価格帯にも関わらず、2014年までで2万個以上も販売したそうです。仕様としては、アウトドアフィールドにおいて、無機的に光を放つLEDの問題を解決することを目的に開発され、キャンドルの炎が揺らぐような「ゆらぎモード」でのLEDの光とシリコン製の外装が自然と調和するように設計されていました。

これらの説得力のある製品に併せて、1998年以来継続的に続けているスノーピーク・ウェイというユーザー参加型イベントや自主運営型店舗等において、アウトドアを愛している店員がライフスタイル提案まで行っているそうです。例えば、年9回ほど行うスノーピーク・ウェイなどのイベントでは、社長を筆頭に販売スタッフ、デザイナーなど社員も参加し、消費者がキャンプや<スノーピーク>企画のイベントを楽しみます。イベントを通して、社員が消費者に対して、製品のこだわりや思い入れ、開発の背景を伝えたり、逆に、消費者から要望や厳しい意見などを社員に伝えたりと消費者と社員が密に繋がるコミュニティへと発展し、<スノーピーク>が消費者へ伝えたいライフスタイルを提案しているそうです。そういったコミュニティが、製品の良さやそれを活用したライフスタイル提案などを買い手の感性に響き、売り手と買い手の価値観を融合されることでファンとなり1人の消費者の購入額が増えているのかもしれません。


【大ヒット商品 風が吹くとゆらぐLEDランタン<HOZUKI> 9,800円(税別)】

■ 工務店も、実体験を踏まえた<ライフスタイル提案>を行うべし!!

お施主様との打ち合わせの際、省エネ性が高い、耐震性が高いなど住宅商品の仕様の良さを中心に説明している工務店も多いはずです。もちろん、住宅商品の仕様をお伝えすることは大事ですが、消費者はその土地や住宅でどのような生活ができるかを一番悩んでいるので、初回打ち合わせ時には、特に、地元に詳しい工務店がその土地でのライフスタイルについて相談に乗ったり、それを踏まえてのライフスタイル提案を行うべきです。今回取り上げた<スノーピーク>は、購入後の消費者とのコミュニティを作り、社員と消費者との価値観の融合や共有を図り、1人当たりの購入額を増やしています。住宅においても、<スノーピーク>と同じように、年数回、OB顧客との関係性を継続させるイベント企画を行うことで、OB顧客から新規のお客様をご紹介頂いたり、リフォーム受注に繋がったりします。例えば、イベント企画として有効なのは、素人でも簡単にできる住宅の手入れの仕方などの研修会とOB顧客同士の交流会の両方を行うことです。交流会だけ行う工務店も多いのですが、消費者が身になるメリットを感じさせる研修会も合わせて行った方が参加率は上がります。皆様の受注率を上げるためにも、初回打ち合わせ時に地元でのライフスタイルの提案、継続的なイベント企画を実施することの2点はとりあえず、取り組んでみるのもアリかと思います。

【プロ向けテント<Land Lock>がこちら! 159,000円(税別)狭さを感じない快適なテントでした!】

Written by おとわさん
「常に社会情勢にアンテナをはる事務局きっての情報通。」 音羽 翔  ジャパン建材㈱営業推進部推進課 宮城県仙台市出身 AB型 小さい頃の夢/理科の教師 趣味/バスケットボール(学生時...